渡(と)を越す - 宮本武蔵「五輪書」

「五輪書」では例え話が多く使われている。その一つ。

「渡(と)を越す」とは、海を渡り四十里(160km)・五十里(200km)にも達する長い海路を越えること。
そうした難所を乗り切ることを「渡(と)」という。

人の世を渡るにも、一生のうちには、渡を越すような難局も数多いはずだ。

兵法でも、戦いに臨む覚悟として、渡を越すという心構えが大切である。
敵の力量を読み、自分の能力を正しく判断し、道理を理解して渡を越す姿勢は、船頭が海路を越すのとなんら変わりない

渡を越すとは、敵に弱みが生じて戦況がこちらに優位になったということで、こちらが勝つことがほぼ決まったと言える。

渡を越せば、安心である。